それでもキミが好きだから…
ータクトsideー
最近、朝学校に着くと響く。
「タークートー!今日も勝負しよっ!」
と言う、みぃの可愛らしい声。
そして俺はいつも
「面倒癖ぇなぁ。」
とか言いながら腕相撲対決をやるんだ。
本当は、
『いいよ』
とか優しい言葉を返したい。
だけど、みぃが可愛いすぎてそんな言葉は言えないんだ。
勝負はすぐに終わってしまうけど、その後に一緒に話をできるから幸せなんだ。
…でも、今日は違った。
「みぃ、俺ともやるか?俺、弱いよ?」
と、優太。
『うん!やりたい!』
と、みぃが笑顔で答えると思っていた。
…なのに
みぃは、困った表情を浮かべていた。
「あ!みぃ!俺達今日、日直だ!職員室行かねーと!」
と、慎吾がみぃを助けるように言った。
「うん!」
と、みぃが大きく頷くと慎吾がみぃの腕を引っ張って職員室へと向かった。
俺が疑問に思ったのは、みぃよりも慎吾。
慎吾は、
『みぃが登校してくるのが遅い!』
と言って、俺を職員室に連れて行ったのだ。
だから、仕事はもう終わっているハズだ。
俺がその事を考えていると、
「タクト、ちょっといいか?話したいことがある。」
と言って優太は俺を総合活動室に連れて行った。
「…何?」
「俺とみぃが付き合ってんの知ってるよな?」
「知ってるけど?」
「知ってるなら、何であんなにみぃと話してんだよ!」
「だって、みぃから話しかけてくるし。」
「まだ俺もみぃの手、握ったことねーのに、いつも朝楽しそうに腕相撲やってんじゃん!」
「いつも、みぃから『タクトー!腕相撲やろー!』って言ってくるけど…?」
「そういう時は断ればいいだろ!」
「楽しいから断りたくない。」