狂奏曲~コンチェルト~
前奏曲~プレリュード~
狂想曲~カプリッチオ~
家は道路を挟んで向かい同士。
年も同じということもあって、幼い頃から当たり前のように一緒にいた。
俗に言う、幼馴染みという関係だ。
俺の名前は、二階堂翼。先月、十五になったばかりだ。
幼馴染みの名前は、本郷かなめ。まだ誕生日を迎えてないから、十四歳か。
かなめには一つ年上の兄貴がいて、名前は有紀。
俺の親友だ。
有紀は極度のシスコンで、かなめを溺愛している。
小さい頃から一緒にいるのが当たり前だった。
幼稚園のときは二人で手をつないで遊んでいると、シスコンの有紀がよく俺達の邪魔をしていた。
小学校も中学年にもなると、冷やかしのようなものが恥ずかしい年になり、態度ではかなめのことはなんでもないと言っていたけれども、本当はずっと好きだった。
中学生にもなれば、異性を意識するわけで、俺はずっとかなめのことしか目に入っていなかったけど、でも、それをかなめに伝えるのは格好悪いと思っていた。
だから、口ではかなめをけなしたり、からかったりしていたんだ。
本当は、かなめのことが好きでたまらないくせに。
本当に格好悪いのは、自分の気持ちを伝えられない俺自身だった。
< 1 / 301 >