狂奏曲~コンチェルト~
平沢、幼馴染みなんて、いいもんじゃねぇよ。
近すぎて、遠い存在なんだ。
現に俺は、かなめが好きなのに、好きすぎてどうしようもないのに、何もできないでいるだろ?
かなめが好きだ。
誰にも負けないくらい、かなめが好きだ。
有紀がかなめを想っているよりも、俺はもっとかなめを想っている。
他の誰にも渡したくないくらい、かなめが、愛しい。
「つばちゃん? どうしたの?」
また、かなめが俺の部屋に遊びに来た。
俺は呆れたようにかなめを見て、
「お前は他に行くとこないのかよ」
「えー、つばちゃんは私がここに来たら嫌なの?」
嫌なわけないだろ。
嬉しくて、嬉しくて、たまんねぇよ。
だけどな、かなめ。
少しは遠慮してくれよ。
そうでないと、俺はお前を……。
「でさでさ、つばちゃんって、冴島さんのことどう思ってるの?」
「またその話かよ」
お前は俺の口から他の女のことが聞きたいのかよ。
俺はお前の口から他の男のことなんて、死んでも聞きたくない。
かなめは困ったように、
「え、だってさ、付き合ってないならなんで一緒にいるのか聞いて来いって言われたんだもん」
「誰に言われるんだ、そんなこと」
俺は笑って、そっとかなめの頬に触れた。
無意識だった。
かなめは驚いたように俺を見た。