狂奏曲~コンチェルト~
「誰だよ、高島って」
「同じクラスの子だよ。すごい格好いいの」
だから、クラスの友達と一緒に誕生日プレゼントを渡すの、と笑うかなめの顔を、俺はまともには見れなかった。
―― 胸が痛くて、狂いそうになる。
「だからさ、つばちゃん。男の子はどんなものが良いのか教えてよ」
「んなの一つしかねえだろ」
苦しくて、吐きそうになる。
だから、厭味の一つくらい言わせて欲しい。
「え、何々?」
「AV」
俺の言葉に、かなめが眼を剥いて、そして真っ赤になった。
「つばちゃんの馬鹿! もう知らない!」
そう言って出て行くかなめの後ろ姿を、俺はぼんやりと眺めるしかできなかった。
「くそっ」
枕を壁に投げつける。
苦しくて、やるせない気持ちがどんどん大きくなる。
本当は告白とかして、かなめを自分のものにすればいいのだろうけれど、だけど、もしも振られて、今の関係が壊れてしまうかと思うと怖い。
幼馴染みという関係は、近くて遠い。