last jump
パチパチパチ。
テントの下で休んでたら
後ろから拍手が聞こえた。
滝沢だった。
「ナイスジャンプ♪キレイな跳躍やったなぁ」
「なんや。見てたんか」
「バックスタンドの下の通路歩きながらね。
ね、次は何cm行くん??」
「次は2m03。そろそろ行ってくるわ」
「頑張ってな」
「あいよぉ」
立ち上がって再びピットに向かう。
吹流しが揺れている。
風は左から右だ。
トラックでは5000mWをやっている。
そのせいもあって、とても静かだ。
もう一度集中し直す。
ハビエル・ソトマヨルの世界記録の時の跳躍をイメージする。
あんな風に宙に舞えたら。
ソトマヨルになった気分で俺は走り出す――――