サヨナラの哀言葉
季節外れの雪
ガチャ
家のドアを開けて、外へと一歩踏み出した私。
「ん、心地いいな。」
そんなことを言ってる後ろでは、ドアが閉まる音がした。
今日は寒くもなく、暑くもなく、心地いい天気だ。
そして、季節外れの雪がちらほらと降っている。
たまに私の頬に、吸い込まれるように触れては
、すぐ溶ける。
そんな雪。
あぁ…そういえば、あの日もこんな天気だったな。
そんな事を思いながら、イヤフォンを耳につけた。
そして、曲を再生しながら始まった、あの頃の回想。
今日は、今まで心に閉ざしていたあの頃の思い出を思い出してみようか。
ずっと、ずっと硬く閉ざされていて、『何か』が溢れだしていた私の心のドアを静かに開ける。
それと同時に溢れだす涙。
よかった、ここに人が居なくて。
そう思いながら、いつの間にか到着していた、目的地の公園のベンチに腰を降ろす。