激甘男子の愛し方


エレベーターで上の階に上がり、急いでカードキーを差し込む。



――ピーッ


小さな解除の音がして、部屋の鍵が開いた。



「真子、部屋についたからな。ここの洗面所に行け」



「んっ……」




相当きついのか、もうほとんど話さず、コクンと頷く。



洗面所に真子を連れて行き、頭を軽く撫でて俺はその外に出た。




そうしないときっと真子は吐こうとしない。



昔からそういうところにプライドは持っていたからな―……



まぁ、誰でも女の子は吐いているところを人には見られたくないしな……



おとなしく俺は、部屋のソファーに腰かけた。




それから少しして、真子のせき込む声が聞こえた。



苦しそうなそのせきに心配になり、とっさに立ち上がる。



――ガチャ



すると洗面所のドアが開いて、口元を押さえたまま真子が出て来た。





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