激甘男子の愛し方
どこに行ったんだろう?
洸に限って先に帰ったとは考えにくいし……
まぁ、メールでもしとけばいいか。
単純にそう考え、携帯電話を片手に洸にメールを打ちながら調理室に向かった。
「『少し用事があるので、先に帰ってて』……と。よし、これでいいよね」
――ふわっ
え……?
うつむいて廊下を歩いていたあたしの鼻に、甘くいい匂いが届いた。
とっさにその香りを追おうと、後ろを振り向く。
すると背の高い男の子の後姿が目に入った。
今の香りって……あの男の子から?
チョコみたいに甘くとろけるような匂いだった……
すれ違ったってことは、調理室から出て来たのかな?
この廊下の先って調理室しかないし……