あの日の空を見上げて
それからも状況が悪化する一方で…





8月16日
ー俺の人生が変わった日




その日もいつも通り取り立てが来ていて壊す勢いで激しくドアを叩く音に耳を塞ぎながら





4人で息を潜めてひっそりと時を過ごしていた。





いつも通りの昼下がり





ただいつもより暑かった。





違いはそれだけ…






親父は会社にも取り立てが来たらしくこの頃には会社を辞めさせられてずっと家にいた。






…それは突然だった。





親父は虚ろな目で空(くう)を見つめながら聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。





『……死のうか。』





俺達は突然のことでびっくりして声を出すことも出来なかった。






しかし母さんはずっと考えていたことだったんだろう。





大して驚きもせず





『あなたが死ぬなら私もついていくわ。
悠也、海斗。あなた達はどうする?』







―母さんは壊れていた。





それは暑さのせいだったかもしれないし
もしかしたらもうずっと前から壊れていたのかもしれない。





母さんは遊びにでも行くような軽い口調で俺達に聞いてきた。
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