あの日の空を見上げて
それからの事はほとんど記憶にない。





気づいたときには佳代叔母さんに連れられて児童養護施設に向かっていた。




佳代叔母さんというのは母さんの妹で極度の子供嫌いだった。





親父は兄弟がおらず両方の祖父母もすでに他界していたことから






佳代叔母さんが面倒をみることになったがもちろん面倒をみれるはずがなく





俺達は児童養護施設に入れられることになったのだ。





都心から車で1時間





俺達が入った児童養護施設は想像とは反して山に囲まれた住宅地にあり





他の家よりちょっと大きいぐらいの本当に普通の一軒家だった。





真っ白な壁に真っ赤な屋根





庭には色とりどりの花が咲いていて今まで住んでいた家とはまるで違っていた。





佳代叔母さんは俺達を家のドアの前まで連れていくと





『行きなさい。』





と一言だけ冷たく言い放って帰ってしまった。






俺はこの時はっきりと感じたんだ。




――――“俺達は身勝手な大人達に捨てられた”
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