あの日の空を見上げて
俺は海斗と手をつないだままドアの前に立ち尽くしていた。





目の前のドアは俺達を拒絶してるかのようで





これ以上存在を否定されたら…
そう考えると怖くて中に入ることができない。





もう二度とあんな気持ちを味わいたくない。





拒絶される前に自分から逃げ出してしまいたい衝動に駆られた。





隣の海斗を見ると同じように不安げな顔をしている。





どうしようか迷っていると





『どうしたの?』





と鈴の音のような女の子の声が聞こえた。





俺は突然のことで戸惑いながら振り向くと





そこには丸い大きな目にきっちりと切りそろえられた前髪が特徴的なまるで人形のような女の子が立っていた。





大きな目でじっと俺を見つめてくる。





――時が止まったようだった。
一瞬で今まで俺の心を埋め尽くしていた真っ黒な感情が消え去っていくような気がしたんだ。





俺は恥ずかしくなって目をそらし





『別に…』





と素っ気なく一言だけ答えた。
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