ハレイロ
高校時代。
僕はノリにノっていた。
日常で風邪を引く程度はあるにしろ、大きな病気の類にはかからなかった。
だから、君とも普通に青春できたし、普通に部活に参加できた。
だからかも知れない。
誰も居なくなった放課後。
夕日ももう沈みきりそうな時間。
僕は川原で走っていた。
こんなに走れるのが、嬉しかったんだ。
いつもなら、親に止められる。
喘息が発病するかも知れないから、と。
でも、今はとめないでくれている。
それが何よりも嬉しい。
嬉しいことは、もう一つ。
川原での自主練。
土手のところには、君の姿。
君はもうすぐ真っ暗になると言うのに、本を読んでいた。
あの姿が、本当に好きだった。
あの姿を見るために、自主練してたのかも。
「お待たせ。」
そういって、僕が自主練を切り上げると、君はすぐに本をしまって僕に言う。
「お疲れ様。体調は大丈夫??」
「うん。今日も待たせてゴメンな。」
「ううん。私が待ちたいから待ってるだけだから、気にしないで。」
そういって、優しく微笑んでくれた。
今でも昨日のように思い出せる。
試合の時だってそうだ。
僕が走り終わるのを、待ち構えて、控え室でタオルを渡してくれる。
本当に、この頃から、君は僕のPARTNERだったな…。