ハレイロ


式が始まってから、数時間。

式も終わりかけたとき…


僕たちの、親への挨拶の時間になった。


僕は、手紙を用意した。
結局、涙は出てくるわ、噛みまくるわで大変だった。

ただ、そんなダメ息子の手紙でも、最後までちゃんと聞いてくれた父ちゃん、母ちゃんには、ホントに感謝。

そして、君の番。


驚いたことに、君は手紙も何も用意していなかった。


「て、手紙は!?」
と、僕が聞くと、

「手紙?そんなものいらないわよ。今思ったことを、素直に伝えるわ。」

って、なんとも頼もしく男らしいことを言っていた。

あの時の言葉は、今でも覚えてる。


―――お父さん、お母さん、今日は、祝ってくれて、ありがとう。

今、私は幸せ。その一言しか出てこない。

あんま、良いこと言えないかも知れないけど、聞いてください。


私は、一生この人に守られて生きていこうなんて思ってません。

だって、この人、頼りないし。

どんな困難も、楽しいことも、大きな壁も、一緒に乗り越えていこうと思います。

守られてばかりじゃ、女が廃るでしょう?

一緒に乗り越えて、一緒に生きていく。

その中で、二人でさらに切磋琢磨して…

私は、そうやって生きて行きたい。

そうじゃなきゃ、人生つまらないもの。

だから、応援してください。

私と、この人を。

私たちが、おじいちゃん、おばあちゃんになっても、まぁ、そのときはお父さんたちがいないかもだけど…。

そのときは、空から応援してください。


最後に、私が死ぬまでに、この人が私に勝てたら…。



そういい終わると、彼女は僕のほうに歩いてきて、耳打ちした。


「また結婚してね☆」


その言葉を聴いた瞬間、僕の顔は真っ赤になり、しかも涙が溢れてきた。


「もちろん。」


そうして、僕たちの人生で最高な結婚式は、幕を閉じたんだ。



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