定め屋!!
「黒ちゃんさー、言いたい事はわかるぜ?でも…」
ーーぷすっ
白は牛乳にストローを指しながら、ゆっくりと続けた。
「困ってたんだぜ?あのちびっ子達。だったらオレ達みたいな年上の奴が守ってやんねーと。まぁ、金貰っといて"守る"なんて偉そうな事は言えねぇケドさ」
「…バッカじゃねぇの?んなもんジュース一本貰ったのとかわんねぇよ……」
「ははっ、黒の分、兄ちゃん買ってやろうか?」
「バーカ!!」
黒は少しだけ赤い顔をしながら立ち上がると、帰る!!と吐き捨ててその場を後にしようとしていた。
「ちょっ、オレも帰るってー!まてよ黒ー!!」
白は黒の後を犬の様にドタバタと追いかけた。
二人は双子だが、まさに正反対であった。
白い髪と黒い髪。
肉体派と頭脳派。
左利きと右利き。
甘党と辛党。
楽天家と努力家。
だが、そんな二人だからこそ
力を合わせるとなんでもこなす事ができるのだ。
二人の父と母は、【定め屋】の任務中に命を落として居る。
都市伝説と言えど、その事件は国家が
"不思議にしておけば誰も触れぬであろう"
と言う名目で奇怪に作りあげている物も多々存在するのだ。
依頼者の為に国家に挑む事だって多々ある。
其れを承知の元、二人はこの仕事を代々と引継ぎ誇りとしているのだ。
だが、正直二人の代になってから大きな依頼は一切なくなった。
先代からは"初めは若いからと上手く仕事がこない事もある"と聞いた事もあるが
二人は焦り始めていた。
子供相手の探偵ごっこばかりが立て続けだったからだ。
白はのんびり屋の為に気にして居ない素振りは見せてはいるが
黒は神経質で生真面目な為、カリカリする事が増えた。
だが、最後に行き着く考えは二人一緒だ。
そんな事は、お互い分かっている。
二人はなんだかんだで他愛もない話をしながら
二人で住むアパートに足を早めて行くのであった。