新創世録
身支度を全て整え、講演で話す内容も軽く頭で考えてから、ミカエルが広場をこっそりと見下ろしたとき、すでに広場はたくさんの天使たちで埋まっていた。
神殿のある敷地の一番端に、特別に民衆も足を踏み入れることが許可されている場所がある。それこそが広場だ。丁度その広場を上から見渡せるようになっているデッキが、『講演館』という建物にある。そのデッキから、定期的に様々な演説が行われる。
ミカエルの早朝の挨拶も、定期的な民衆への催しの一つである。
様々な講演の中でもミカエルのものは特に人気で、いつも広場には溢れんばかりの民衆が集まる。
ミカエルがデッキに現れると、民衆は皆盛大に拍手し、歓喜の声をあげた。
「ミカエル様ーっ!!!」
「ミカエル様おはようございます!!」
「ミカエル様こちらをお向き下さい!!」
女天使はみな惚れ惚れし、男天使はみな尊敬の眼差しを送った。
ミカエルが話を始めようと口を開くと、天使たちは耳をそばたて、広場は一気に静まりかえった。