新創世録




「いやー、完璧な御挨拶だったよミカエルくん!」




ミカエルが神殿の長い長い廊下を歩いている途中で、突然赤髪の青年が空から舞い降りてきた。



バサバサという羽ばたきで、突風がミカエルを襲う。




「…!これはこれは。誰かと思ったらザクザガエルじゃないですか」





ザクザガエルと呼ばれた赤髪の青年は、苦虫を噛み潰したように顔をひしゃげた。



「……反応薄ッッッ!もっと驚いてくれたっていーじゃーん」




ザクザガエルは子供のようにミカエルに抱きつくと、ミカエルの服を引っ張ったりしていたずらっぽく笑った。




「今日はどうされました?」




ミカエルが大して年齢もそう変わらない彼を息子のように扱っていると、そこへ息を切らして黒縁眼鏡の男性が走ってきた。



おちゃらけた雰囲気のザクザガエルとは対照に、かっちりした紺色の服を着、綺麗に青髪を整えているところから彼の真面目さが伝わってくる。





「おいザク!!!ふざけるのもいい加減にしろ!」



「でた鬼教官」



「なにか言ったか」



「いえ何もー」




ザクザガエルはミカエルからぱっと離れると、足を閉じ両脇をしめてビシッと立ってみせた。




「今度はイフェフィアですか。今日は御前会議も無いのに皆さんにお会いできますね~」



ミカエルは、対立するような二人を交互に見て笑った。



「笑い事じゃありませんよミカエルさん!ザクの態度は目に余る。ミカエルさんに対して馴々しすぎです。敬語の一つも遣えていません」




イフェフィアはザクザガエルの首根っこを掴むと軽々と持ち上げた。




「イテテテテッッッ……痛いよーもっと優しく扱ってってば」



「お前が改心したらな」




「っていうかミーたんに敬語って……俺以外の御前天使だってほとんど遣ってねーじゃんよーっ」




「お前は度がすぎる」



イフェフィアのビシッとした一言に、言い返す術を失ったザクザガエルはがっくりとうなだれた。



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