シュガーレスキス
■第1章(1話)
1-1 秘密
冬が終わって、体もほぐれたなっていう春の陽気漂う日々。
私は同僚の木本沙紀を誘って外でお弁当を食べた。
「うーん。気分いいねえ、風が清々しいっていうか。このままどこかに遊びに行きたいよ」
昼休憩は45分しか無いから、あまりゆっくりしてられないんだけど、実際このまま仕事なんか戻らないで、とんずらしたい気分。
桜も半分散って葉桜になりかけているのを見ると、ああ今年も一番美しい季節が終わってしまったという気分になる。
聡彦を好きになった春。
私は彼に夢中だけど、彼は私を本当に好きでいてくれてるのか分からない。
そんな不思議な付き合いの私達。
桜の咲いた季節も好きだけど、この桜の葉が青々してくるとまたそれはそれで嬉しい。
「菜恵、今日の夜飲まない?明日休みじゃん」
草むらに横たわっていた沙紀が思いついたように私を誘った。
彼女とはプライベートも分かち合う友達だから、当然夜の飲みとかも多い。
でも、今日はどうしても付き合えない訳が私にはあった。
「ごめん、今日はちょっと駄目なんだ」
私が申し訳なさそうにそう言うと、沙紀はムクッと体を起こして目を光らせた。
「うそ、また誘われたの?」
「……」
答えられないってことはYESを意味している。
私は嘘のつけない馬鹿なタイプだ。
片思いの人の命令に逆らえないという、迷える子羊のような人間。
私は同僚の木本沙紀を誘って外でお弁当を食べた。
「うーん。気分いいねえ、風が清々しいっていうか。このままどこかに遊びに行きたいよ」
昼休憩は45分しか無いから、あまりゆっくりしてられないんだけど、実際このまま仕事なんか戻らないで、とんずらしたい気分。
桜も半分散って葉桜になりかけているのを見ると、ああ今年も一番美しい季節が終わってしまったという気分になる。
聡彦を好きになった春。
私は彼に夢中だけど、彼は私を本当に好きでいてくれてるのか分からない。
そんな不思議な付き合いの私達。
桜の咲いた季節も好きだけど、この桜の葉が青々してくるとまたそれはそれで嬉しい。
「菜恵、今日の夜飲まない?明日休みじゃん」
草むらに横たわっていた沙紀が思いついたように私を誘った。
彼女とはプライベートも分かち合う友達だから、当然夜の飲みとかも多い。
でも、今日はどうしても付き合えない訳が私にはあった。
「ごめん、今日はちょっと駄目なんだ」
私が申し訳なさそうにそう言うと、沙紀はムクッと体を起こして目を光らせた。
「うそ、また誘われたの?」
「……」
答えられないってことはYESを意味している。
私は嘘のつけない馬鹿なタイプだ。
片思いの人の命令に逆らえないという、迷える子羊のような人間。
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