シュガーレスキス
「するわけないだろ。…………熱はそんなにひどくないな。とりあえずゆっくり休まないと」

 そう言って、インフルエンザの時と同じように私を介抱し始める聡彦。

 私が病気になると聡彦が優しい。
 私はずっと病気でいればいいのかな。
 そんな気分にすらなる。

 具合は悪いんだけど、聡彦が心配してくれたのが嬉しくて心はホコッと暖かくなっていた。

「やたら食材ちらかってるけど、何これ」

 冷蔵庫に入れなかった食材が床に散らばっていて、それを見た聡彦が驚いていた。

「明日聡彦の誕生日でしょ?それで……何か凝ったもの作ろうと思って」

 食べてもらえるか分からなかったけど、とりあえずお祝いをしたいんだって気持ちを自分で消化したくて食材は買ってしまった。

「そんな体調じゃ、何も作れないだろ?……しょうがないな、俺が何か作ってやるよ」
「え、本当?」

 布団から少し起き上がって、聡彦を見る。
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