シュガーレスキス
「許してもらえるの?」

 そう言って聡彦の顔を見上げると、彼は優しく微笑んでいた。

「何回キスすればいいのか分からないな」

 聡彦の唇が、私の頬や目頭や唇に何度も触れた。
 優しいキス。
 愛しい気持ちが伝わるキスだ。

「日付が変わるまでいてくれる?一番におめでとうって言いたい」

 彼の腕の中で、私はそうつぶやいた。

「菜恵の体調が心配だから、今日はこっちに泊まるよ」

 こうして、思わぬ展開で聡彦の誕生日はいいタイミングでお祝いする事ができた。
 もちろん私は何も出来なくて、ただ彼の腕に抱かれながら「誕生日おめでとう」って言っただけなんだけど。

 また戻ってくれた暖かい体温に安心して、私はその晩はいつに無く夢も見ないでぐっすり眠った。
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