シュガーレスキス
彼の中でも八木さんが強引な人だという認識はあって、私の言い訳も信じてくれた。
でも、密室で起きてしまったキス事件の事を隠し通す事が出来なかった。
八木さんが聡彦に、直接言ってしまったからだ。
「あの男は、俺を精神的に殺す気なのか……?」
私のアパートで向かいあって、事件の事を話していたら、聡彦がそうつぶやいた。
「もう彼とは一緒に行動しないようにするから」
「でも一緒に仕事してて、菜恵の上司になる訳だし。関係を絶つって事は無理だろ?」
そうだ……あれから体調の戻った八木さんには謝られたけど、それをつっぱねるほどひどい態度はとれなかった。
表面上だけは何も無かったように振舞うのが精一杯だった。
彼の強引さを考えると、今後も私に隙さえあれば何をされてもおかしくない。
はあーっと大きなため息をついて、聡彦は私をギュッと抱きしめた。
「聡彦……?」
「菜恵、八木の独占欲と執着心は普通じゃない。守ってやりたいけど、どうしたらいいのか分からない。仕事も最近忙しくて、どうにも目を届かせきれない……」
私が八木さんにどうにかされてしまうんじゃないかという危機を感じているみたいで、聡彦は本気で悩んでいた。
でも、密室で起きてしまったキス事件の事を隠し通す事が出来なかった。
八木さんが聡彦に、直接言ってしまったからだ。
「あの男は、俺を精神的に殺す気なのか……?」
私のアパートで向かいあって、事件の事を話していたら、聡彦がそうつぶやいた。
「もう彼とは一緒に行動しないようにするから」
「でも一緒に仕事してて、菜恵の上司になる訳だし。関係を絶つって事は無理だろ?」
そうだ……あれから体調の戻った八木さんには謝られたけど、それをつっぱねるほどひどい態度はとれなかった。
表面上だけは何も無かったように振舞うのが精一杯だった。
彼の強引さを考えると、今後も私に隙さえあれば何をされてもおかしくない。
はあーっと大きなため息をついて、聡彦は私をギュッと抱きしめた。
「聡彦……?」
「菜恵、八木の独占欲と執着心は普通じゃない。守ってやりたいけど、どうしたらいいのか分からない。仕事も最近忙しくて、どうにも目を届かせきれない……」
私が八木さんにどうにかされてしまうんじゃないかという危機を感じているみたいで、聡彦は本気で悩んでいた。