シュガーレスキス

「なあ……菜恵。もうそろそろいいかな?」

 お互いの体がすっかり熱くなった頃、聡彦が真剣な眼差しでそう聞いてきた。

「……そろそろって?」
「だから。最後までって事」

 分かってたけど、そのラインを超えるのが怖くて私は分からないふりをしようとした。
 だって……愛撫は気持ちいいけれど、実際そういう行為になると女性は苦痛だって聞くし。
 好きな人だから全部受け止めたいけど……やっぱり怖い。

「痛かったり怖かったら途中ですぐ止めるから」
「本当?」
「俺を信じて任せて」

 いつになく優しい聡彦の声に、私の心もやっと安心してコクンと頷いた。

「じゃ……本当に少しね」

 そう言われた直後、私はやっぱり怖くて聡彦の体を押しやってしまった。

「菜恵……まだ何もしてないんだけど?」
「ごめん。だって、すごく怖いんだもん……まだ駄目だ。無理だよ」

 涙声で謝る私。
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