シュガーレスキス
「元気無いね」
聡彦と喧嘩してから1週間ほどして、如月さんがそんな事をふいに言った。
私は普通にしているつもりだったから、どうして彼に私の心の様子が分かったのか不思議だった。
「そんな事ないですよ」
聡彦の事なんか口に出来るはずも無く、私はそっけなくそう答えた。
公園のベンチでお弁当を食べていた私達は、木陰で何となくボーっとした時間を過ごしていて、如月さんは私が食べ終わったのを確認してからタバコを吸った。
「舘さんと何かあった?」
噂が彼の耳にも届いていたのか分からないけど、そう聞かれた。
「え、何ですか。それ」
「後藤さん演技下手すぎ。彼氏とうまくいかなくなった女性って心がそぞろになるからね。最近、君の仕事がちょっと切れ悪いって気付いてる?」
いつも通りの仕事をしているつもりで、成績を下げるような事もしたつもりはなかった。
でも、高いレベルを望む如月さんの目には、私の様子が落ちているように見えたようだ。
「もし仕事の質が下がってるなら……ごめんなさい」
飲んでいたお茶のキャップをしめて、手の上で転がしながら気まずい調子で謝った。
「いや、別に謝るほどひどい訳じゃ無いんだけど。単に心配してるだけ。あっちにも変な噂たってるしさ……俺と後藤さんも何かそういう餌食にされてるみたいだし」
何も言わないのに、如月さんは全て私の心を先読みしていて、軽く驚かされる。
彼の営業成績がいいのは、人の心を少しだけ先読みする才能があるせいなんじゃないか……と思う。
聡彦と喧嘩してから1週間ほどして、如月さんがそんな事をふいに言った。
私は普通にしているつもりだったから、どうして彼に私の心の様子が分かったのか不思議だった。
「そんな事ないですよ」
聡彦の事なんか口に出来るはずも無く、私はそっけなくそう答えた。
公園のベンチでお弁当を食べていた私達は、木陰で何となくボーっとした時間を過ごしていて、如月さんは私が食べ終わったのを確認してからタバコを吸った。
「舘さんと何かあった?」
噂が彼の耳にも届いていたのか分からないけど、そう聞かれた。
「え、何ですか。それ」
「後藤さん演技下手すぎ。彼氏とうまくいかなくなった女性って心がそぞろになるからね。最近、君の仕事がちょっと切れ悪いって気付いてる?」
いつも通りの仕事をしているつもりで、成績を下げるような事もしたつもりはなかった。
でも、高いレベルを望む如月さんの目には、私の様子が落ちているように見えたようだ。
「もし仕事の質が下がってるなら……ごめんなさい」
飲んでいたお茶のキャップをしめて、手の上で転がしながら気まずい調子で謝った。
「いや、別に謝るほどひどい訳じゃ無いんだけど。単に心配してるだけ。あっちにも変な噂たってるしさ……俺と後藤さんも何かそういう餌食にされてるみたいだし」
何も言わないのに、如月さんは全て私の心を先読みしていて、軽く驚かされる。
彼の営業成績がいいのは、人の心を少しだけ先読みする才能があるせいなんじゃないか……と思う。