シュガーレスキス
 驚くほど熱くて、信じられないほどの甘い痛みが体を貫く。
 でも、すごく私の体を心配しながら様子を見てくれている聡彦を見ていると、自然に愛情が溢れ出す。
 完全に聡彦に体を委ねてみたら、本当に自然に私達は一つになる事が出来た。

 不思議な人間の心の動き。
 どうして、こんなふうに自分以外の人間を好きになるんだろうか。
 どうして、好きなればなるほど、離れやしないか……って不安が押し寄せるんだろうか。

 体が重なっている時の一体感は永遠には続かなくて。
 きっと明日になれば、また二人の間には目に見えないほんの少しの隙間が出来る。
 この隙間を埋める為に、私達は絶え間なく会話を繰り返す事が必要だ。

 確実に約束された未来が無い変わりに、自分がなりたい将来を夢見るのも自由。

 軽く背中に汗をかいた聡彦の体を抱きしめて、彼を愛する”今この瞬間の自分”を体全体で感じていた。
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