シュガーレスキス
 明け方、私はまるっきり自分が裸なのに気が付いて驚いた。

「やだ、昨日あれから寝てしまったんだ」

 初めての体験をし、聡彦があり得ないほど優しかった事だけは記憶している。

 何と言うか……別人のようだった。
 隣でスヤスヤ眠っている聡彦も裸で、私の手をギュッと握っていた。
 今日は土曜日だし……このままでいいか。
 私はクスッと笑って聡彦の髪を撫でる。
 子供みたいだな、やっぱり……聡彦は眠ってる時が一番可愛い。

「ん……?菜恵?」

 私が彼の頭に触れているのに気が付いて、しょぼしょぼと目を開ける。

「おはよ、まだ6時半だよ。もう一回寝たら?」

 体内時計がセットされているみたいで、私達は7時前に目が覚めてしまった。
 聡彦も一瞬自分が裸で、私も同じ状態なんだというのを確認してちょっと戸惑っている。

「下着もつけてない……」
「そうなの。シャワーも浴びなおさないで寝たみたいなの」

 少し起き上がって、体についた汗を流そうと布団をめくる。

「……」

 自分の初体験の跡が生々しく残されていて、一瞬目の前がクラッとするのを感じた。
 意識してなかったけど、体を動かしたら軽く下半身がだるくて痛い気がする。
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