シュガーレスキス
 私は自分が余計な事を言ったんだと思って体の向きを変えた。
 一緒にお風呂に入るなんて初めてで、二人ともなんとなく照れている感じだ。

「菜恵は……やっぱりフワフワのマシュマロみたいだよな」

 聡彦の手がお湯の中で私の体を捕らえる。
 何も特別な刺激は与えられてないんだけど、二人の体がものすごく近い事が意識されて、朝だっていうのに変な気分になってくる。

「もう一回する?」
「え……?」

 振り返りざま、聡彦の唇が私の唇をとらえ、言葉なんか全部呑み込んでしまうほど強いキスをされた。

 何度となくキスを繰り返すうちに体がまた熱くなってしまい、私達は濡れた体をふいて新しいシーツにした布団の上で温まった体を抱きしめあった。

「痛いだろうから、最後まではしないよ。菜恵の体をもう少し感じさせて」
「……うん」

 どこで覚えるのかなあと不思議なんだけれど、聡彦の口と手から送られる愛撫は正直言葉に出来ないほど気持ちがいい。
 胸と唇を何度もキスされ、どんどんいやらしい気持ちが芽生えてくる。

「こんな事言ったらどう思われるか分からないけど……他の男にこの体を触れさせたら、俺、多分正気じゃなくなると思う」

 聡彦はそう言って、熱っぽい眼差しを私に向けた。
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