シュガーレスキス
 浮気の心配……。

 聡彦はなかなか上手に口に出せないでいるけど、如月さんと私の関係を随分深刻に心配してるみたいだった。

「聡彦だけ。あなただけだよ……私の肌に触れられるのは。思いきり抱きしめて」

 恋には終わりがある。
 だから、こうやって肌を合わせていても、心は必ず変化してゆくのも忘れてはならない。
 でもね……あなたは分からないだろうけど、聡彦を恋しく思う気持ちは私の中でだってずっと大きくなってるんだよ?

 きっとこの気持ちを大事にしていれば「愛」っていう素敵な感情に変わるんじゃないかな。

「愛の言葉をささやくと、それ以上の気持ちを表せなくなる気がして。だから口にしないんだ。つまり、俺の気持ちはそれ以上だって事なんだよ……分かって」

 私が常日頃感じていた聡彦の本当の気持ち。
 どうして「好きだよ」「愛してるよ」って言ってくれないんだろう……っていう気持ち。
 彼はそれを何となく察知していたみたいだ。

「分かってるよ、聡彦が私を大事にしてくれてるって。昨日の夜にそれがすごく良く分かった。聡彦が素敵過ぎるから……心配になってただけ」

 私も普段はなかなか言えない言葉を口にして彼のキスに積極的に答えた。
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