シュガーレスキス

「……何してるの?」
「え、これからでしょ。まさか寝る気?」

 私は驚いた。
 平日だし、もうこれ以上の負担は私には無理だ。

「ゴメンもう今日は終りにして。週末にしようよ……」
「駄目。明日にしようって言ってて俺が明日死んだらどうすんの」

 大げさな事を言われた。
 でも、明日聡彦が居なくなるなんて……考えただけで頭がグラッとする。

「死ぬなんて言わないでよ」

 私が本気で涙ぐんだから、聡彦も驚いて「冗談だよ」って言って優しくキスをしてくれた。

 こんな訳で、私は昨日の夜も限界まで体力を使い果たし、何とか今日の仕事をこなしている状態だ。

「後藤さん?もう打ち水終りだよ?」

 声をかけられてハッと我に返る。
 今自分が妄想していた聡彦との夜を思い出して顔が赤くなった。

「すみません、外勤なんで急ぎます」

 照れをごまかす為に私は急いで社内に戻った。
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