シュガーレスキス
 今日のお仕事はそれほど大変ではなく、軽くドライブ気分での外勤だった。

「嫌っていうほどの天気だよな」

 ハンドルを握る手が熱いようで、何度か濡らしたハンカチで手をふいている。
 冷房を利かせたって暑いものは暑い。
 如月さんが隣じゃなかったら、ブラウスの前ボタンを外したい気分だ。

「今日は時間があるから、ちょっと寄り道しようか」
「え、どこに行くんですか?」

 こういうイレギュラーな事を言われるから、困ってしまう。
 如月さんは器用だから、業績を全く下げずに業務中に息抜きする事も出来る。

「ちょっとした避暑地」

 そう言われて車が止まったのは、どこか分からないけれど神社の下に用意された駐車場だった。
 木が生い茂っていて、神社に続く階段は真っ暗だ。
 外に出ると、スーッと涼しい風が吹いて体温がグンと下がった感じがする。

「生き返りますね、すごく涼しい!」

 かなり気分が良くなって、私は階段を数段タンタンと登った。
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