シュガーレスキス
「一人で来るのが多いんだけど、後藤さんには特別教えてあげるんだからね」

 冗談ぽくそう言って、彼も階段を私より多めにタタタッと登る。

 何となく追いかけっこみたいな感じで最上段まで登りきってしまい、息が切れた。

「久しぶりに上まで登ったなあ」

 そう言って、如月さんは軽く汗をかいている。
 目の前には立派な彫刻がほどこされている境内が見えた。

「ここの神社は縁結びの神様で有名らしいよ」
「へー……」

 じゃあ、私と聡彦が仲良く暮らせますようにってお願いしようかな。
 そんな気持ちで私は軽く手を合わせてお参りした。
 如月さんも手を合わせていたけど、何をお願いしたんだろうか。

「何お願いしたか知りたい?」

 階段を降りながら、彼はそう聞いてきた。

「いえ、別に」
「冷たいなあ!ちょっとは俺に男を感じないわけ?こんだけ近い状態で過ごしてるのにさ」

 後ろからそんな声が聞こえてきて、ちょっと笑ってしまう。
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