シュガーレスキス
子供を持つほどの関係だったって事は、俺は相当彼女を愛していたんだ。
それは部屋から出てきた日記からも分かっていた。
毎日、毎日、呆れるほど彼女への愛情を綴ってあって、こんな恥ずかしい文章を自分が書いたのかと驚く程だった。
「病院を教えて下さい」
決意を示す為に、俺は真っ直ぐに如月さんの目を見た。
俺の態度を見て、彼は戦闘体勢を少し崩した。
「良かった、あなたが拒否したらこの場で殴り飛ばすとこでしたよ。病院までお連れします。でも、彼女を少しでも不幸にするような事があったら……俺は黙ってない事だけは覚えていてください」
「……分かりました」
こんな唐突な事実を告げられて、すぐに承知した自分も不思議だった。
まず事実確認をしたいのが先のような気もするけれど、俺は後藤さんが何か死ぬほどつらい事実を隠していたのを感付いていた。
一度直接会った時、何か大事な事を言い出そうしていた。
なのに、別れの言葉だけを言って去ってしまった。
あの時の彼女の悲しそうな目を、俺は忘れられなくて。
だから、子供の事を言われ、それをあっさり認める気持ちになった。