シュガーレスキス
「はい、ここに寝て」

 言われるままに布団に入る。

「制服きつそうだから、それだけ脱いだら」

 言われて、私は手伝ってもらいながら制服を脱いだ。
 もう恥ずかしいとか言ってる場合じゃない。
 とにかく早く寝たい。
 
 肌着姿になった状態で私は、やっと布団の中で落ち着いて寝る事が出来た。

「じゃ、薬飲んだし一応大丈夫と思うけど、また仕事終わったら来るから」

 そう言って、私がお礼を言う暇もなく聡彦は仕事に戻っていってしまった。

「……」

 しばし彼の行動を考えてみた。
 仕事を抜けてまで私をアパートに送ってくれた。
 薬も用意してくれて、何からなにまで優しかった。

 誘いのメール断った事を何も言わなかったし、それに、仕事が終わったらまた来るとか言ってた。

 優しい……?

 分からないけど、いつもの悪魔な彼じゃなかったのは確かだ。
 ハヤトみたいに、強くて頼りになる背中だった。
 額に当てられた手が大きくて、男性を感じてしまったし、とにかく彼を好きな気持ちにさらに火をつけられた感じがした。

 ただでさえ熱で体が熱いのに、聡彦を思うだけでさらに温度が上がりそうな感じがした。
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