シュガーレスキス
「何……二人で。どういう事だよ」

 聡彦が私の腕をとろうとしたのを如月さんが遮り、私と聡彦の間に立った。

「あんたがこうやって彼女を泣かせてるんだろ?知らないところで、後藤さんはまだ不安を抱えてるって事だよ。やっぱりあんたには任せられないな」

 如月さんがケンカ腰で聡彦に迫る。

「ふざけるなよ……菜恵から手を放せ。俺の大事な女に触るな」

 聡彦も低いトーンで、如月さんを威嚇した。

 今にも喧嘩を始めそうな二人を見て、私はそれを止めるのに必死になった。

「やめて!如月さんは悪くない、彼は私を心配してくれてただけなの」

 思わず私は如月さんを庇っていた。
 無意識だったけど、聡彦の方が感情的になると本気で相手を殴りそうだったから、つい如月さんの方を庇ってしまった。
 それを聞いて、聡彦の動作が止まる。

「……菜恵。何で今、如月を庇った?」
「え?」

 聡彦の顔は、あのツンデレ時代だった頃の表情だった。
 ある意味、本当の彼が戻ったと言っていい状態だ。

「それは……聡彦が、今にも如月さんを殴ろうとしてたから」
「そう……」

 それ以上何も言わなかったけれど、その沈黙で聡彦が私と如月さんとの仲を疑っているのが分かった。
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