シュガーレスキス
1-3 雨が記憶していたもの(SIDE聡彦)
SIDE 聡彦
菜恵を守りたい。
そう思って必死に記憶をたどる毎日を過ごしていた。
如月との妙な噂が菜恵の耳に入ってなければいいと日々心配していて、時々昼休みを延長してアパートに様子を見に帰ったりしていた。
そのタイミングが悪かったのか、如月が菜恵を抱きしめている場面に出くわしてしまった。
如月の菜恵への気持ちは相当大きいのを知っていたから、瞬時に敵意が沸いた。
さらに、菜恵は俺と如月の間に入って、奴を庇った。
あの瞬間だ……俺が持っている本来の性格というか……性質が表面に現れたのは。
それまでは、どことなく別人を演じてる感覚だったけれど、“菜恵を如月に奪われるかもしれない”と思ったとたんに、あり得ないほどの嫉妬心が体を支配して動けなくなった。
菜恵だって俺のこういう性格が分かっていたからこそ、先に手を出すのは俺だろうという気持ちがとっさに働いたに違いない。
男としての余裕という面で言えば、確かに如月は相当大きいものを持っていると思う。
菜恵が抱えている大事な命が如月とのものだなんて事は1%も考えていないけれど、記憶を失ってからの俺に菜恵が不安を持っているのは確かだろう。
菜恵を守りたい。
そう思って必死に記憶をたどる毎日を過ごしていた。
如月との妙な噂が菜恵の耳に入ってなければいいと日々心配していて、時々昼休みを延長してアパートに様子を見に帰ったりしていた。
そのタイミングが悪かったのか、如月が菜恵を抱きしめている場面に出くわしてしまった。
如月の菜恵への気持ちは相当大きいのを知っていたから、瞬時に敵意が沸いた。
さらに、菜恵は俺と如月の間に入って、奴を庇った。
あの瞬間だ……俺が持っている本来の性格というか……性質が表面に現れたのは。
それまでは、どことなく別人を演じてる感覚だったけれど、“菜恵を如月に奪われるかもしれない”と思ったとたんに、あり得ないほどの嫉妬心が体を支配して動けなくなった。
菜恵だって俺のこういう性格が分かっていたからこそ、先に手を出すのは俺だろうという気持ちがとっさに働いたに違いない。
男としての余裕という面で言えば、確かに如月は相当大きいものを持っていると思う。
菜恵が抱えている大事な命が如月とのものだなんて事は1%も考えていないけれど、記憶を失ってからの俺に菜恵が不安を持っているのは確かだろう。