シュガーレスキス
「寒くないか?早く暖かい服に着替えろよ」

そう言って体を離そうとしても、菜恵は俺にしがみついていて離れようとしない。

「暖かい……聡彦の心が伝わってきて、暖かいよ」
「菜恵……」

ずっと俺は言葉にしたらそれ以上を表現する手段が無いんじゃないかと勝手に思っていた事を口にしようという気持ちになった。
それは、この言葉の持つパワーを実感したからだ。
きっと、使う方法によってこの言葉のパワーは増したり減ったりするんだろう。

だから、今使うには相応しい言葉だと感じた。

「愛してるよ……菜恵」

俺は、やっと心からの愛を菜恵に語る事が出来た。
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