シュガーレスキス
小さな居酒屋で、俺は酔わない程度のビールを頼んだ。
沢村さんは強いなんて聞いてなかったけれど、知らない間にチューハイ2杯とカクテル3杯を飲み干していた。
「ピッチ早すぎじゃない?」
そう声をかけた時には、すでに彼女の目はうつろだった。
「舘さんと一緒なんですもの。恥ずかしくて……酔ってないと平然としてられなくて」
「ちゃんと話ができなくなるだろ」
新しいカクテルが運ばれてきて、俺の言う事なんか聞かずにストローで美味しそうにそれを吸い上げている。
仕事の悩みとか人間関係の悩みとか、とりあえず思い当たる事を色々尋ねてみたけど、病気になるほどひどい悩みは無さそうだった。
じゃあ……やっぱり俺のせいで病院にかかってるって事なのか?
「あのさ、君が病院通いしてるの、皆心配してるんだよ。原因が俺だって言われたりもしてる」
正直なところをズバッと言ってみた。
「そうですか……心配かけてすみません」
すでに空になったグラスを傾けて、沢村さんは真っ赤な顔のままきまり悪そうにつぶやいた。
「だから、何が原因なのか言ってくれないかな」
「……」
この話になると、とたんに無言になる。
一番聞かなければいけない部分がどうしても聞けない。
でも、沢村さんの本音を聞き、俺自身が取り乱す事になるなんてこの時はまだ思ってなかった。
沢村さんは強いなんて聞いてなかったけれど、知らない間にチューハイ2杯とカクテル3杯を飲み干していた。
「ピッチ早すぎじゃない?」
そう声をかけた時には、すでに彼女の目はうつろだった。
「舘さんと一緒なんですもの。恥ずかしくて……酔ってないと平然としてられなくて」
「ちゃんと話ができなくなるだろ」
新しいカクテルが運ばれてきて、俺の言う事なんか聞かずにストローで美味しそうにそれを吸い上げている。
仕事の悩みとか人間関係の悩みとか、とりあえず思い当たる事を色々尋ねてみたけど、病気になるほどひどい悩みは無さそうだった。
じゃあ……やっぱり俺のせいで病院にかかってるって事なのか?
「あのさ、君が病院通いしてるの、皆心配してるんだよ。原因が俺だって言われたりもしてる」
正直なところをズバッと言ってみた。
「そうですか……心配かけてすみません」
すでに空になったグラスを傾けて、沢村さんは真っ赤な顔のままきまり悪そうにつぶやいた。
「だから、何が原因なのか言ってくれないかな」
「……」
この話になると、とたんに無言になる。
一番聞かなければいけない部分がどうしても聞けない。
でも、沢村さんの本音を聞き、俺自身が取り乱す事になるなんてこの時はまだ思ってなかった。