シュガーレスキス
 そんなこんなで、沢村さんの問題はほぼ終わった。
 「ほぼ」というのは、後日彼女が別の課の既婚者と交際しているという事が問題になったのだ。
 沢村さんの最終責任者はグループリーダーが握っていたんだが、問題を処理できないと言って、何故か俺にお鉢が回ってきた。

 どうしてやる事も出来ないとは思ったけれど、一応休憩室に誰もいないのを確認して彼女を呼んだ。
 もちろん厳罰になるのは上司の方なんだけれど、どうして沢村さんがその人と付き合う事になったのか……これからどうする気なのか。一応話を聞けという事だった。

「沢村さん。どうして君はもっと自分を大事にしないんだ。男性に何を求めてる?」

 明らかに幸せになれないだろう男をあえて交際相手に選ぶ沢村さんの思考回路は、どうにも理解しがたい。

「舘さんは安心したでしょう?自分から私の気持ちが反れたって思ったでしょ」

 最初の頃に見せていた優しげな雰囲気の彼女では無い。
 全くたじろぐ様子がない上に、自分の不倫をも恥ずかしいと思っていないようだ。

「そういう問題じゃない。何で将来を一緒に見ようと思える相手を選ばないんだと聞いてるんだ」

 こんな事まで職場が一緒だというだけで言わなければいけないのか……という気持ちだ。
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