シュガーレスキス
「じゃあ、聡彦は私を愛してるの?ちゃんと心から愛情があって私と付き合ってるの?」

 私はどうしてもそれを確認したくて、しつこく彼の気持ちを聞いた。

「だから、愚問だって」

 インフルエンザがうつるかもしれないっていうのに、聡彦はまた私にキスをしてきた。
 これは彼なりに“愛してる”っていうサインなんだろうか。
 そうだよね、きっとそうなんだよね。

 私は嬉しくて、彼の首に片腕をかけてキスを一度だけ返した。

「……菜恵からキスもらったの、初めてだな」

 そんな事を言って、聡彦は軽く私の頭を撫でて部屋を出て行ってしまった。
 本当は一晩中いて欲しかったけど、これ以上の贅沢は言えないなって思って、私は我がままを我慢した。

 こうして、私は屈折したツンツンデレの聡彦との交際を続ける事になった。
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