シュガーレスキス
「やっぱり聡彦おかしい」

菜恵が食事する俺を見ながらそんな事を言う。

「何がおかしい?」
「聡彦が……何だか優しい。不気味」

体にさわるから、食事の支度も適当でいいと言ったら、これだ。
俺は鬼か悪魔なのか?

「俺だって妊婦を気遣うぐらいの気持ちは持ち合わせてるよ」
「ふーん……。でも、優しい聡彦も好き」

 俺がすっかり棘が抜けているのを確認して、菜恵が後ろからペタッとくっついてくる。

 ふわっと香る菜恵の優しい香り。

 ほっかり暖かい菜恵の温もり。
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