シュガーレスキス
「でもさ、結局菜恵ちゃんをどう思ってるか……とか言わないんだ」

 健太はこんな事を聞いてくる。

「そう。そこは強情なんだよね。何で言ってくれないんだろう」

 私がふとペンを止めてその疑問をもう一度考えていたら、健太はストーンと明快な言葉を言った。

「別に本気な女でもいるんじゃねーの?菜恵は2番か3番という可能性も否定出来ないな。1回そのへんきっちり返事してもらえよ」

 私が相変わらずグズグズしてるから、健太もやや苛立っている。
 何で健太が怒る必要があるのか分からなかったけど、私はとりあえず「そうだね」とだけ答えておいた。

 私が2番?

 そうか、本命がいたら愛の言葉をささやくのはその人の為だけに使うのかもしれない。
 でも聡彦はそんなに器用な人には見えないんだけどな。
 健太から言われるとそんな気分になってくるから、ついさっきまでのほほんとしてたのに、急に不安になる。
 描きかけの漫画も何だか乗らなくなって、私は健太に外食しようよって誘った。
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