シュガーレスキス
「どうしたの?急に会いたいとか言って。今まで休日はお互いフリーに過ごそうとか言ったの聡彦だよ。ルール破ったの今回は聡彦だからね」

「とっくにルールなんか崩壊してるだろ」

 確かに。
 私は好きにメールを彼に返すようになっていたし、以前ほど気を使ったりしなくなった。
 男性との会話の数もかぞえなくなっていて、結構自由な気分を満喫していたんだけど。

「誰……あれ」
「は?」

 いきなり“誰”と聞かれても何の事か分からない。

「さっきまで一緒にいた男だよ。誰なの、随分親しげだったけど」

 あ、もしかして健太の事?

 すぐにそれが思い当たって、私はクスッと笑ってしまった。

「何が可笑しいんだよ」
 
 いつもの冷静な彼じゃない。
 少し顔が上気しているようにも見える。

「だって、聡彦が焼きもち妬いてるみたいに見えるから。あれはオタク仲間の健太だよ」

 やっぱり外から見ると、健太と私って相当仲がいいように見えるのかな。
 にしても、その場で何も言わないで、こういうふうに遠まわしに探ってくるのが聡彦らしいね。
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