シュガーレスキス
「当然だ。菜恵は俺のものだし、あの男がもしセカンドカーだったら速攻で別れてもらうつもりだった。菜恵はどうする?あと二人を蹴散らす気ある?」
「……」

 思わぬ事態に、私の心はパニックだった。

 普通付き合うって言ったら、本当に心を通わせた人が一人いればいいはずだ。
 でも、男性って多数の女性から好かれてる状態が好きな人もいるみたいだし。
 聡彦は変わり者だから、そんな器用にたくさんの女性と付き合えるとは思ってなかったんだけど……そうか、私はサードカーだったのか。

 いつスクラップになってもいい程度のどうでもいい存在。

 本命とセカンドの女性を蹴散らせるかなんて聞かれても、私がそういうタイプの人間じゃない事ぐらい聡彦だって分かってるはずだ。

 ヤカンのお湯が沸いて、湯気を出していたから、それを黙って止めた。

 ひどい人だ。

 せっかくインフルエンザになって彼の愛情を確認したつもりだったのに、曲がった彼の心はストレートに私の好意を受け取ってはくれてなかったのか。

 聡彦に対する怒りより、振り回されてる自分が笑えた。
 勝手に涙がこぼれてきて、床にぽたぽたっとその雫が落ちた。
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