シュガーレスキス
 健太との事はすぐに言い訳する事が出来た。
 聡彦が単純に彼との事を誤解して妬いてくれたんだったら、逆に嬉しいぐらいだった。

 なのに「所有する車」とか言われて、しかもそれが3台目だなんて……。

 これで休日に彼が私と会わない理由も、好きだとか愛してるとか言わない理由も分かった。
 本命じゃないからだ。
 彼には本当に好きな人が別にいる。
 だから私なんかいつスクラップになってもいいんだ。

 こんなに頭にきたのは何年ぶりだろう。

 それぐらい私は怒っていた。
 3ヶ月彼のからかい半分の命令に正直に従ってきて、そこからようやく本当の恋人らしくなったなって思ってたった1ヶ月。
 トータル4ヶ月しか付き合ってない人だけど、その間に振り回された私の心を考えると何だか自分が可愛そうに見えてきた。

 ツンツンデレでもいい。
 ツンツンツンデレでもいいんだよ。
 私が一番で、私だけを愛してくれているなら、それでいいって思ってたよ。

 時々とんでもなく甘く接してくれたら、それだけで私は幸せだって思っていられるぐらい聡彦を好きだった。

 だから、余計腹が立った。

 もう二度とあいつなんかからの電話に出るもんか。
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