シュガーレスキス

2-3 ツンツンツンデレの本心

 聡彦との連絡を断って2週間。
 向こうからも何も言ってこないし、私も今回ばっかりはもう折れる気はなかった。
 それでも気分がいいかと言われれば、そうは言い切れない。
 健太と一緒にいた事への嫉妬だけで、あそこまでひどい事が言えるもんだろうか。
 男性と付き合った事は数回あるけど、お別れするのにこんなにつらい思いをした事は無い。

 ということは、私は相当聡彦を好きだったって事だ。
 趣味悪いなあ、私も。


「おつかれさま」

 めったに顔を出さない本社の受付も取り締まっている佐川部長が、唐突に現れた。
 ボーっと考え事をしていた私は、相当焦った。

「あ、おつかれさまです。急ですね」

 普通はこっちに寄る前に事前連絡があるのに、今日は抜き打ちだった。

「いや、ごめん。忙しくて連絡してる暇なかったよ」

 そう言って、部長はハハハッと笑った。
 かっぷくのいい佐川部長は普段おっとりした人だけど、仕事の事にはわりと厳しいからちょっと緊張してしまう。
 その部長が話を続けた。

「この資料館にもチーフを置いた方がいいだろうって事になって、急遽チーフを一人入れる事になった。八木くんだ、まだ25歳で若いが、かなり信頼できる人材だからここを束ねてもらうことにした」
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