シュガーレスキス
 どこでそんな集計してるのか知らないけど、時々そのランキングをエクセルで集計したものが出回ったりする。
 この事を男性職員はあまり知らない。
 当然聡彦だって自分が1位を独走していたなんて知らないだろうし、八木さんの出現で2位に落ちたことも知らないだろう。
 ていうか、きっとこんなものどうでもいいっていうタイプだ。

 一人で昼休憩になってしまった日、偶然八木さんも食堂に行くからっていうんで、私達は並んで歩いた。

「後藤さんはここから近い場所に住んでるの?」

 普通に彼はそんな事を聞いてきた。

「ええ、バスで30分ぐらいです」
「一人暮らし?」
「はい」
「そうかー。僕もこっちに唐突に引っ越してきたでしょ、前は本社に通える範囲に実家があったから、そこから通ってたんだけど。いきなりの一人暮らしになって、学生の時みたいに自由にならないから結構大変だよ」

 そう言って、八木さんはちょっと笑顔になった。
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