シュガーレスキス
 八木さんとの時間はすごく穏やかだった。
 男性を感じにくいっていうか、すごくソフトだから女性と話しているのと似た感覚で。
 それでも、人気がある彼との食事は結構注目を浴びていて、私は定食ばっかり見下ろして、ひたすらガツガツと食べ続けた。
 ただでさえ私は、聡彦との噂で、あまりいい印象を持たれてないらしいから。
 これで八木さんと仲がいいとかいう噂になったら、ダイレクトに何か嫌がらせとかされてもおかしくない。

「そんなに急がなくていいんじゃないの?」

 八木さんが私の食べるスピードに驚いていたけど、私は「ちょっと急いでるんで」とか言い訳して10分で定食を食べ終えた。
 八木さんがまだ半分しか食べてない状態だったから、私は彼を残したまま食堂を出た。
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