シュガーレスキス
 バスタオルを持ってきて、とりあえず頭だけ拭いてあげたけど、どうしても体中が濡れてるから、全部脱いでもらうしかなかった。

「乾燥機にシャツとかはかけられるから。全部脱いで」

 脱衣所にタオルケットとバスタオルを置いて、私は聡彦にほぼ命令口調でそう言って服を脱がせた。
 私もびしょびしょだったから、彼が服を脱いでる間にささっと部屋着に着替えてすぐ暖かいミルクコーヒーでも作ってやろうと準備をした。

 何故か彼に対して腹を立てていたのをすっかり忘れていて、雨に濡れて私を待っていた悲しそうな聡彦の顔が焼きついて、胸が切なくなっていた。

 シャッとバスルームのカーテンが開く音がして、タオルケットを肩にひっかけた聡彦がフラフラっと出てきた。
 上半身が裸なのが見えてしまって、ちょっと焦ったけど、何だか彼の落ち込みっぷりの方がひどくて気になった。

「何かあったの?スーツはすぐ乾かないからしばらくエアコンかけるね」

 私はそう言って、シャツ類は乾燥機にかけて、スーツはハンガーにかけてエアコンがダイレクトにあたる場所に吊るした。

「ねえ……あき……」
 何も答えない彼に、もう一回声をかけようとしたら、突然後ろから抱きしめられた。
 タオルケットがバサッと落ちる音がして、私はほとんど裸状態の聡彦に抱きすくめられた。
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