シュガーレスキス
 気に入ったから、当然そのまま命令口調で付き合う事になり、戸惑う菜恵にかまわずキスもした。

 全く、面白いぐらい菜恵は素直だった。
 見た目がいいからもっと男に慣れてるかと思ったのに、本当に経験が浅いらしく、キスする時も

「長いと呼吸ができない」

 とかアホな事を言った。

「お前の鼻は何の為にくっついてんだ?」
「あ、そうか。鼻で息すれば長くキスできるね」
「……」

 こんな一面もさらに俺の独占欲をくすぐった。
 菜恵の心全てを俺の事でいっぱいにしてやりたかったし、それが例え俺に対する恐怖心からのものでも、俺から離れずにいてくれるならそれでいいと思った。

 菜恵の全てを支配したい。

 こんな悪魔が自分の中に潜んでいようとは、ちょっと自分でも意外だった。
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