シュガーレスキス
 だから、菜恵と接点を失って3週間。
 俺は心のエナジーはエンプティーランプを点滅させていた。

「舘さん、そういう訳なんで。課長にちゃんと言ってもらえますか?」

 何だか分からないけれど、仕事の量が多いとか何とかそういう相談だったような気がする。

「ああ、言っておくよ。ただ、可能な限りの仕事はやってもらわないとしわ寄せは俺に来るんだからな。ちゃんとやれよ?」

 それなりに先輩社員として、最もらしい事を言ってその場の話を締めた。

 店から出て、何となく菜恵に会いたくなった。
 今更……どうやって会いたいなんて言えるんだ。

「おやすみなさい、今日はありがとうございました!」

 タクシーに乗って、悩みの解決した彼女は清々しく去って行った。
 取り残された俺は、何だかタクシーに乗るっていう気分にもなれなくて、フラフラと歩いた。
 自分のとっている行動が子供じみていて、菜恵を苦しめているのは分かっている。

 でも、この独占欲はどうにもならない。
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