シュガーレスキス
「俺が悪かった。今回は……ちょっとやりすぎたって思ってる」

 彼が素直に謝っている姿は私の心をキュンとさせたけど、今抱きつくわけにもいかない。
 このあざが消えるまで、1週間は必要だろう。

「ごめん……あと1週間待って。そうしたらちゃんとまた会おうよ」
「何、その1週間って何?」

 言えない。
 キスマークが消えるまでの期間だなんて……言えない。

 私の言葉を待たず、聡彦が部屋に上がってきた。
 私はとっさに首を押さえる。

「何、今何隠したの?」

 怒ってる声ではなかった。
 聡彦は私の態度がおかしい事に気付いている。

「来ないで。来ないでったら!」
 
 涙が出てくる。
 このキスマークで、また聡彦を怒らせたら二度と許してもらえない気がして。
 せっかく仲直り出来そうだったのに、そのチャンスを自分でつぶそうとしている。
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