シュガーレスキス
「見せて」
私の手をそっと外して、首元に見える小さな痣を彼は見つけた。
当然一瞬固まって、それが何の痣なのかを考えているみたいだった。
「……八木?あいつなのか?」
やっぱりキスマークだというのがバレてしまった。
私は聡彦の言葉に答えずに黙っていた。
この沈黙がYESを意味しているというのは、彼にも伝わっているだろう。
「ゴメン……違うの。浮気したなんて嘘なの。信じてもらえないかもしれないけど」
私はボロボロと泣いた。
八木さんが悪いわけでもない。
彼は私に好意があると最初から伝えてくれていた。
なのに、私は彼を自分の部屋に入れた。
本来ならもっと強引な事をされていてもおかしくなかったはずなのだ……八木さんはあれで精一杯自制を利かせていた。
だから、悪いのは私。
聡彦を裏切ってしまったのは……私。